方言と共通語のよさを考えよう (1) 〜民話から方言にふれよう(4年生)
川 那 部 隆 徳

 子どもたちは日常生活において、友達、家族など身近な人との会話の中で方言を使っていたり、授業での発表場面では、共通語で話したりしている。ところが、それらは経験の中から無意識的に使い分けているものである。特に共通語を使用する場面は限られており、共通語で正しく話そうとする意識は低い。そこで、取り上げ指導によって、繰り返し学習し、場に応じて共通語で適切に話せるようにしていきたい。

 また、子どもたちは、会話の中で方言を使うこと以外にも、民話などの中で、独特の雰囲気を醸し出している方言の語り口調にもふれている。このような方言のもつあたたかさやおもしろさを十分に感じ取らせていきたい。

このようなねらいから4年生では方言と共通語の特性に対する気付きを大切にした学習を構成した。高学年では、調査活動を中心とした「言葉研究」の一つとして方言と共通語を取り上げていく。

【学習計画】(全4時間)
第1時 民話の中のあらわれる方言のおもしろさについて考える。
第2時 方言・共通語ゲームを通して、方言と共通語に対する興味関心を高めると共に、自分の話し言葉に含まれる方言に気付く。
第3時 様々な場面に応じて、使うのにふさわしい方言と共通語を考え、方言と共通語のよさを感じる。
第4時 「方言と共通語」を『言葉発見辞典』に整理する。

<第1時>
 まず、CDで東北地方の民話を聞き、方言の語り口調にふれることにした。
C 何を話しているのか全然わからない。
C 外国語を聞いているみたい。
T 聞いてみてどんな感じがしましたか。
C 昔話らしい感じが出ていた。
C よく分からないけれど、何となくどんな話しか分かった。
T では、「桃太郎」の話を、いろいろな地方の方言であらわしたCDを聞いてみよう。
C おもしろい。
C 同じ「桃太郎」の話なのに、地方によって全然違う。
C 関西弁の「桃太郎」は自分が話している言い方と似ていた。

 このあと、滋賀の方言で書かれた滋賀に伝わる様々な民話を読む機会をもった。そして、話の内容ではなく、方言であらわされた民話から感じた印象について感想を交流した。
(滋賀大学教育学部附属小)