本棚  教育とはなんだ 学校の見方が変わる18のヒント
重松 清 編著 BK1
筑摩書房 2004.4. 1600円
教育とはなんだ

 さまざまな立場で教育に関わっている17人の人々へのインタビューで構成されている。教育に携わっている者には、もう少しつっこんだ論議がほしいと思うところもあるが、今の教育問題への入り口として、教育改革論や教科指導だけでなく、広い視点から問題が取り上げられているのも本書の特徴である。

 例えば、校舎について。学校や教室の規準は明治28年以降そのままである。上野淳(建築学)は「日本の学校というのは、同じサイズで、同じ表情、同じ内容の教室が廊下に沿ってズラーッと並んでいるわけです。教室の机や椅子もたいへん居心地が悪い。ここで子どもたちが自分の帰属感や居場所を定めるのは、なかなか難しい。ひとたび『僕は違う』……となると、……日本の学校はひじょうにつらい空間だと思うんですね」と教室が、学校が閉じているままでは世の中に遅れてしまうと言う。

 本書で取り上げられているテーマは、教育論、英語、数学、国語、理科、倫理、家庭科、学校改革、民間人校長、校舎、遠隔教育、保健室、給食、課外授業、学童保育、教員免許、職員室、就職の18である。教員にとっても、学校を変えていくヒントになる。(常諾真教)