言葉の仕組みや使い方を調べよう 〜こそあど言葉(4年)
川 那 部 隆 徳

 普段、子どもたちに、「言葉に敏感な子」に育ってほしいと願っている。言葉の美醜、適否に対する鋭い感覚を育てていくことは、国語科教育における重要な課題の一つであろう。
 本学習では、同じ言葉や文を繰り返さないですむという「こそあど言葉」の働きをつかむとともに、状況に応じて適切に使うことができる力の育成をめざして構成した。
 まず、具体的な場面に応じた使い方を体感的に学ぶ場を設定し、こそあど言葉のよさや使い方に対する関心を高めた。次に、集めたこそあど言葉を分類し、それらを体系的に整理し、さらに、様々な状況に応じたこそあど言葉の使い方を考えた。知識的に理解したことを実の場において生かせる場を設定した。

こそあど言葉のよさや使い方を体感する場面
【本時の目標】 様々な場面に応じて、使うのに適したこそあど言葉を体感的に考え、こそあど言葉を使う状況や使い方を理解することができる。

T 大ホールの真ん中を中心にして大きく広がりましょう。(移動)先生がボールを持っています。ボールを持って、大ホールの真ん中に立ちました。みんなが今いる場所から、先生が持っているボールを指すときに、「このボール」といいますか。それとも、「その」「あの」「どの」を使いますか。よく考えて札を出しましょう。いいですか。
C (札を出して、辺りを見回す)
T (それぞれ札を出した者を起立させる。)(札を出した理由を尋ねる。)
C これぐらい離れたら、遠いから「あの」にした。
C 遠くなく近くもないので「その」。
T あれ、「あの」を使った人とあまり場所がかわらないのに、「それ」を使っている人もいるね。
C 僕は、これぐらいだったら「その」を使うと思ったから。
T 人によって、ちょっと違うみたいだね。「この」を使った人は?
C 近いから「この」だと思った。
T じゃ、先生が立つ位置を変えます。では、札を出しましょう。
 (数回位置を変え、札の変わり具合を話題にする。)

 体感的に学ぶことによって、こそあど言葉は、人によって微妙にその使い方が異なる曖昧さをも含んでいることに気づくことができた。また、その微妙な違いを感じ取る感覚を磨く一つの場となった。
(滋賀大学教育学部附属小)