「文字のない絵本」で…
池 嵜 繁 伸

 文字のない絵本を題材にして、「話すこと・聞くこと」の学習を仕組んでみた。子どもたちに、相手とコミュニケーションをとることの楽しさを実感させたいと考えての試みである。
 子どもたちが互いに伝え合いたいという思いを持つ上で、最も重要なのが話し合うテーマ(題材)である。切実感を持たせるため学級会での「スポーツ大会」「全員遊び」等の議題をテーマにすることも考えた。しかし、現段階のクラスの実態では、自分のやりたいことに固執してしまい、相手とコミュニケーションをとることの楽しさを実感する「伝え合う」学習活動が成立しにくい。

 そこで、読書好きな子どもの多い実態も考え、文字のない絵本(Mister O ルイス・トロンダイム 作 講談社)をどう読むか?をテーマにとりあげることにした。自分が絵を見てつくったお話を伝えたい、相手がどんなお話をつくったかを知りたいという子どもの思いをもとに「伝え合う」学習活動を展開していった。
 話し合いの形態は、3人1組の『トライアングルトーク』を取り入れた。
 話し合いの時の集団は人数が少ないほど、1人ひとりの発言のチャンスが増えるが、2人組の場合はお互いの人間関係などが大きく影響し、話し合いがうまく進まないことがある。進行役を1人置くことで話し合いがスムーズに進む。この3人1組の話し合いを『トライアングルトーク』と呼ぶことにしている。

【主な学習の流れ】
@3人1組の話し合い(トライアングルトーク)の進め方について、例文を参考にして理解する。
A文字のない絵本「Mister O」(ルイス・トロンダイム)の絵を見て、工夫してお話をつくる。
B3人1組のトライアングルトークで、各自の考えたお話について伝え合う。
C絵を見て3人でトライアングルトークをしながら、お話をつくる。
D各グループでつくったお話をクラス全体の場で発表する。

 この題材で何を話し合わせるかについては、細かな部分でまだまだ工夫しなければならない点がある。  今後も、子どもたちが夢中で惹きつけられる「文字のない絵本」の魅力を教材開発に生かしていきたい。
(彦根市立平田小)