話し合いで盛り上がる説明文の読みとり
蜂 屋 正 雄

 「ヤドカリとイソギンチャク」(東京書籍4年上)は、説明文の読解を中心とした教材である。「問い」と「答え」の関係が明確で、4年生の子どもにも見つけやすい。
 今回は討論の要素を入れて、できるだけクラス全体で読解を進めていけるような授業展開を考えてみた。

 話し合いの根拠として、自分の考えをノートに書く時間を確保した。「なぜ、ヤドカリはいくつものイソギンチャクを貝がらにつけているのでしょうか」という問いについて、「どこからが答えになる文章ですか」という発問をし、答えだと思う部分をノートに書いていった。

 はじめ、子どもたちの意見はいくつかに別れたが、ノートに書いたことを元に、意見交換をしていくうちに、大きく二つにまとまってきた。
@イソギンチャクのしょく手は、何かがふれるとはりが飛び出す仕組みに…。
Aヤドカリが近づくと、たこは足をひっこめてしまいます。…。

 ここで、@だと思う人は筆箱を右、Aだと思う人は筆箱を左に、思案中の人は真ん中に置くように指示し、意見を言わないまでも、自分の考えを表せるようにした。そして、もう一度時間をとり、そこだと思う理由を考え、ノートの続きに書いた。
 まず@の子から意見を言い、続いてAの子が意見を言う。その後互いの意見に対する反論を行うという討論の形式で話し合いを進めていった。
 「タコの動きが書かれているのはAなので…」「イソギンチャクをつけている理由は@のところからなので…」と、誰かが何かを言うたびに、筆箱の位置が変わり、発言した子はみんなの筆箱の動きがあることで手応えを感じることができた。議論が白熱してくると、「付け足しで……」「反論していいですか」といった声が次々と上がり、みんな、お互いの意見をよく聞き、思いを伝え会うことが出来た。
 はじめに一番がんばって@の意見を主張していた子が、発表中に「あれ?」といいながら、自分の意見を変えてAにしたのが決定打となって、最後にはほとんどの子がAの意見になり、クラスの意見としてまとまった。

 授業が終わってから、「今日は何かスッキリしたわ」「先生、面白いなあ」といった言葉を聞くことができた。読むこと、書くことが苦手なSくんもノートには書かないまでも、じぶんの考えを発表し、「先生、今日の国語は面白かったわ」といっていたのが一番うれしく感じた国語科の授業であった。
(草津市笠縫東小)