正しく伝える たぬきの糸車(光村1年 )
吉 永 幸 司

1.間違って読むから…
「 間違って読むから」と前置きして「たぬきの糸車」の初めの場面を音読した。
 「むかし、ある山おくに」という文を「むかし、山おくに」と読んだところ早速手が挙がった。指名をすると「ある」と答えた。そこで「あるという言葉を読んでいません」と言うように指導し、次の文を読んだ。
 「きこりふうふがすんでいました」の文を「きこりがすんでいました」と読んだら「きこりのふうふがすんでいましたというのが正しいです」と訂正をする子が出てきた。その発言をほめ、同じような形態で音読をした。

 語が抜けている間違いから、次のように間違いの方法を変えた。
「きこりのふうふがすんでいました。山おくの一けんやなので」と読むところを「きこりのふうふがすんでいました山おくの一けんやなので」と「。(まる)」で息を継がないで読んだ。最初は気が付かなかったが、二回目で気が付く子があり、発言を促した子がそのことを指摘すると、多くの子が納得をした。文に注目をさせるには効果があった。

2.難しい言葉を見つけよう
 「難しい言葉を見つけよう」と働きかけて、最初の場面を読ませた。最初は予想通り「ない」とい う反応だった。そこで例として、「ふうふ」について尋ねた。親子とか家族とか口々に言っていたが、改めて説明をしようとすると難しそうであった。
 しかし、「ふうふ」効果はすぐに表れた。
「一けんやがわかりません」
「わながわかりません」
と発言が生まれた。「わかりません」が言えたのがいいと質問上手の方法として位置づけた後、「まいばんのように」「いたずら」をむずかしい言葉として取り上げ、どれから考えるか選ばせた。

 「いたずら」を考えたいという子が多かったので、理解できている子に説明をさせた。
「家の中に入って、ものを捨てること」と言った。説明が上手にできる子だったので黒板を背に、前で発表させた。
「いたずらについてお話します。たぬきが。きこりのふうふの家へきて、ものをすてたり、大事なものをかくしたりすることです」と整った文型で説明をさせた。初めから整った言い方ができないので、少しずつ真似をさせた。2人目の子が内容を少し広げて説明をし、3人目の子はしっかりと「お話をします」と説明をした。
 話す経験を重ねるにはこのように前に出させて発表させると効果があるという手応えを得た。
(京都女子大学)