「28人+1人」の出発
中 嶋 芳 弘

   あ な た

この大地の上に
人間はたくさんいるけれど
あなたは たった一人
たった一人しかいない
足が長いか 短いか
色が白いか 黒いか
走りが速いか 遅いか
そんなこと
あなたのたった一回の一生に
何のかげも落としはしない
あなたの行く手には
無限の可能性が広がっている
人に勝てなくてもいい
あなたは あなたの
できるかぎりを
やって見せればいい
わたしも
わたしのできるかぎりを
やってみせる
28人+1人、「ひとりひとりがすばらしい」「おたがいにがんばって、1年をすごしていきましょう」「本当に『力がある人』というのは、算数ができる人でもなければ、国語ができる人でもない。体育の得意な人でもないのです。自分にできることとできないことを知っていて、最高の努力をする人。仲間のどんな小さな努力をも認める人なのです」と、声をかけて出発した日から、1週間が過ぎました。

 その様子を28人の「十七文字日記」をつないでつづります。
「十七文字日記」というのは、俳句の入門のような短い作文です。たった十七文字ですから、しっかりとテーマと言葉を選ばなければなりません。でも、短いからすぐに書くことができます。

春です。
 「たんぽぽは 雨も風も 大丈夫」
晴れた日が続きます。
 「今日は天気 あしたはもっと 上天気」
そして、今年度初めての給食。
 「おいしいな 初給食 ほんとだよ」
 「楽しい日 みんなと食べる 初給食」
昼休みは、ドッジボールに興じる。だんだん仲間が増えていく。
 「さくらさき みんなと遊ぶ 楽しいな」
 「今日は晴れ みんなと仲良く 遊べたよ」
雨の日。
 「雨ふって ハンカチ落とし 楽しいな」
 「雨ふりだ 遠い道を 帰ります」
やっぱり晴れはいい。
 「今日は晴れ みんなでドッヂ 楽しいな」
 「晴れの日は 外で遊んで 汗をかく」

 ゆっくりゆっくり出発です。
(彦根市立河瀬小)