音 読 か ら ス タ ー ト
蜂 屋 正 雄

 今年度は4年生を担任することになった。4年生では、学習活動の中で「これだけできた」という実績と実感を持たせてやりたいと考えている。
 東京書籍の最初の単元は音読教材「様子や気持ちが伝わるように」である。「とっときのとっかえっ こ」というお話と、金子みすずとまど・みちおの詩が載せられている。
 2つの詩はどちらも自然に対する作者の思いが独自の視点で描かれている。4連で構成され、同じテンポで繰り返されている。この教材を、視写→音読→味わうという流れで、実践した。

 はじめにこの詩に対する興味を持ってもらえればと思い、作者・金子みすずのことについて軽く解説し、この時間には詩の視写と暗唱をすることを指示した。
 はじめは視写。「視写」とは何かを忘れている子どももあり、6行の中に全部書いていたり、1行ごとに行をあけている子がいたりとバラバラであったので、「、」や「。」まで、教科書の通りに写すように指示、教師がチェックしてやる。きれいに書けている子を誉め、点や丸のない子にはやり直しをさせた。

 早くできた者から、覚えることをはじめていった。
 ほとんどの子が書けたところで、教師も黒板に詩を写した。
 それから、音読をはじめた。1回目はみんなで音読。少し元気がないように感じたが、かまわず続けた。
 2回目から、黒板の文字を少しずつ消しながら音読を続けていった。まずはすべての連にある「わたしはふしぎでたまらない」という1行を1連目以外は3つとも消して音読。
 3回目は各連で対になっている色「銀」「白く」「ぱらりと」を消して音読を行った。
 1回目よりも2回目、2回目よりも3回目の方が子どもたちの声も大きく、楽しそうに音読する姿が見られた。視写では憂鬱そうにしていた数人の子どもたちも、この時は黒板を見ながら楽しそうに声を出していた。

 7回目には、何も書いていない黒板に向かって、みんなの声が響いていた。
「すごいな、みんな、真っ白の黒板で勉強するなんて」
と誉めると、
「真っ白ちがうで、真っ黒やで」
と返されたが、どの子もたいへんよい顔をしていた。
(草津市立笠縫東小)