「体験学習」ということ
森  邦 博

 お年寄りと「昔遊びを楽しもう会」を持った。
 2年生が司会して、めあての確認、来校への感謝の気持ちなどを伝え、各持ち場に分かれていった。 交流時間はおよそ1時間。
 そして先生の集合の合図で、またみんなが集まり、終わりの会が始まった。今度は、1年生の2人が司会進行を勤める。
司会 「今日の昔遊びを楽しもう会は楽しくできましたか。」
みんな「はーい。」(の声。お年寄りの方々もにっこり。)

 これで終わりかと私は思っていた。「楽しかった」で終わることも多いのが、今の体験的活動の現状 である。もちろん、今日の体験はそれ自体価値あるものだが。
 ところが、司会の子が、
「今日の感想を、発表してください。」
と発言。他の1人は、挙手をした子どもにマイクを運んでいく。「うーん。なかなかよく工夫しているな。」と感じながら見ていると。マイクを向けられた子どもが、
「○○さんと、折り紙を一緒にして、作ってもらえたので、とってもうれしかったです。ありがとう。」
と発表した。
 胸につけていただいていた名札を見て名前を覚えたのだろうが、話すときにちゃんと名前を言って(相手意識をしっかりと持って)話せていることに少なからず感動して聞いたのだった。そして、ともすると「楽しく活動さえしていればよし」という甘く荒っぽい指導意識・学習観に流されていない。
 発言はその後も何人も続いたが、聞いてくださっている方々も大変嬉しそうであった。

 こんなハプニングも。
 元気よく手を挙げていた1年生のAさん。けど、なかなか指名をしてもらえない。それでも挙げ続け、やっと指名が回り元気よく立った。かと思ったら、急にもじもじ。そして、
「わすれてしもたんや・・・。」
 1年生が熱中するとよくあるハプニング。逆に言うとそれだけ熱中している証拠。
「あ、そうや、思い出した。」
と、その子も無事に思いを伝える。すると司会の子が、
「それでは、おじいさんおばあさんからも、言ってください。」
とマイクを持っていく。
 こういう時間が子どもをまた一段と育てるのだな、おろそかにしてはいけないなと、心に中でつぶやき聞いていたのだった。担任の先生方の配慮に感謝。子どもに学んだなあと実感した時間であった。
(大津市立中央小)