感じ・様子と思ったこと
吉 永 幸 司

1、「わらぐつの中の神様」(5年)の感想を話し合う

 雪がしんしんとふっています。
 マサエは、おばあちゃんといっしょにこたつに当たりながら、本を読んでいます。


 「わらぐつの中の神様」の書き出しは雪の夜の情景から始まる。その静かな様子を捉えさせることを目的に、読みとった感想をトライアングル・スピーチの形式で話し合わせた。
 1つのグループは、代表の子が「静かな感じがする」ということを話題にしたのをうけて、冒頭場面の雰囲気を話し合っていた。

 もう1つのグループは代表の子が次のように話し始めた。
C ぼくのおじいちゃんもお風呂が好きで長風呂です。
 これを受けて、2人の話し合いも盛り上がった。
C ぼくはお風呂が好きではないけど、マサエのおじいちゃんはお風呂が好きだと思ったのは、一緒です。
C ぼくは、お風呂が好きです。
と、お風呂の好き嫌いで話し合いが進んでいった。

2、話題の違いは指示の違い
 グループによって話題がどうして違ったのかについて考えてみた。
 その結果、最初の場面を読み、次のように指示をしたことが原因であることが分かった。指示は、
T 最初の場面で感じたことを書きなさい。
であった。そこで書き出した子もいたが。分からない子が、
C 文を読んで思ったことでいいのですか。
と質問したので、それを認め、
T 思ったことや、感じたことを書いて下さい。
と、少し幅を広げた。つぶやきとして「何を書いてもいいのだな」と言っているのも認めた。
 その結果が、話題として「静か」と「風呂」になったのである。

3、指示を明確にする
 授業の目的は、おじいちゃんがみんなに笑われながらお風呂屋さんに出かけて行った後の静かな家の様子を読み取らせることであった。従って「静か」を話題にしてほしかったのである。
 そうならなかったのは指示が曖昧だったのである。
T 静かな夜の様子が表れています。どこからそう感じるか根拠を見つけなさい。
と、場面の様子を限定し、課題を分かりやすくする方法がある。
T 場面の様子を考えながら読みましょう。様子を表す文や語を5つ以上見つけましょう。
と、読むことの目的や数を明確にした方がよいと反省した授業であった。
(京都女子大学)