本棚  理想の小学校を探して
草生亜紀子 著 BK1
新潮社 2003.11. 1000円
理想の小学校を探して

 国立や私立のいわゆる「お受験」で有名な学校のガイドブックではない。もちろん、取り上げられている7つの学校は、それぞれ特色があり、成果を挙げている学校である。しかし、著者はそのよいところを紹介するだけでなく、つねに「自分の子どもの学校選び」という視点から見ている。現実に就学前の子どもをもつ著者の生身の姿が見えるルポである。

 著者は子どもが十八歳になるまで子育てを楽しむという。「娘が十八歳になった時に、行きたければ世界のどこへでも行ける人間にしておくこと」が子育ての目標である。そんな著者にとって「理想の学校」とは、「最低限の基礎知識が身につけられて、ものの考え方や調べ方、疑い方を知ることができて、他人とのつき合い方を学ぶことができる場所」「人生の『おもしろさ』に目覚めることのできるところ」である。

 私の子育ての目標……親離れ、子離れの原体験
 小学生にはどの程度の英語教育が必要なのだろう?……加藤学園(静岡県沼津市)
 何よりも大切な国語の力を養うには?……木細工小学校(岩手県江刺市)
 自力で学校を創立してしまう場合……ラーンネット・グローバルスクール(兵庫県神戸市)
 教育環境の場としての小学校を考える……萱田小学校(千葉県八千代市)
 学力保障を謳う小学校……黒松小学校(宮城県仙台市)
 給食の安全性をどう考えるか……和田小学校(山形県高畠町)
 実際の学校探し
 週休2日制をどう活用するか……京陽小学校(東京都品川区)
 まとめ……終わりのない旅

 著者が訪れた学校は、7校。取材を続ける中で、学校に何を求めるか、家庭で何をするのかについて著者が考えたことが述べられていく。私はその部分に惹かれた。(常諾真教)