紙飛行機を説明する(3年生)
西 村 嘉 人

「わたしが作った紙ひこうきはよくとびます。あんまり強くなげると下に落ちてしまうけど、かるくうでをふるようにしてなげると、十メートルぐらいとびます。作り方はすごくかんたんです。ほかのひこうきと形が少しちがいます。たまにだけど落ちる前にくるっと回ります。作ってみてね。(略)」


 これは、子どもが書いた「わたしの紙ひこうき」の説明文の書き出しである。
 子どもたちが楽しんで説明文を書く学習に取り組めるようにと「紙ひこうき」を題材に選んだ。指導計画は次の通りである。

【第一次】 紙ひこうきを作って飛ばしながら、作り方やとばし方をメモし、簡単な説明書をまとめる。(5時間)
【第二次】 教科書に載っている説明書の例文を読み、分かりやすさの工夫を探す。(2時間)
【第三次】 教科書の例文で見つけた分かりやすさの工夫を生かしながら、「わたしの紙ひこうき」の説明文を仕上げる。(3時間)

 学習の導入は、紙飛行機を作って飛ばすことから始めた。
「先生、これも国語の勉強?」
と笑いながら楽しむ子どもたち。時間の終わりに10分間だけ、作り方や飛ばし方についてのメモを書かせただけである。

 次時からは、
・わたしの紙ひこうきの紹介
・作り方の説明
・よくとぶ飛ばし方の説明
・おすすめの文
の4項目に沿って、前時に遊んだ紙飛行機のことをまとめる学習を進めた。前時の楽しく遊ぶ子どもの表情が、説明の仕方を考える表情に変わった。紙飛行機を作りながら、鉛筆を動かす。廊下に出て紙飛行機を飛ばしては、机に戻って文を書く。書いては消し、消しては書きの連続である。作った紙飛行機をもう一度広げて作り方を確認する子ども。廊下で紙飛行機を持つ手を眺めたり、飛ばす間際で手を止め、その様子を見つめる子ども。正に「観察」の眼である。

 書き上げた説明書を友だちと交換させ読み合わせた。
「分かる?」
「……」
「あのなあ、こうやってな…」
ともどかしそうに、紙飛行機を作ろうとする子ども。「分かってもらう」難しさを感じた子どもたち である。
 この後の学習は速かった。例文を読んで工夫点を見つけるのも、見つけた工夫点を生かして説明文を仕上げるのも、一気に進んでいった感じである。
 導入の面白さが際だった。
(彦根市立城南小)