表現することを楽しむ子どもたち
西 村 嘉 人

 4月から日記帳を2冊持たせ、毎日日記を書き続けている3年生の子どもたち。しかし、なかなか文章は長くならない。見事な三文日記である。特に指導したわけでもないのに、「きょう、○○をしました。○○ちゃんとしました。楽しかったです。」の文章パターンを確立して、頑固に書き続けている子どもがまだまだ多い。理由は簡単。書くのが面倒くさいからである。

 そんな子どもたちに修飾語を使うことを教えるために、次のような遊びを1時間行った。

  犬が   ほえた。

と板書し、「犬」と「ほえた」を修飾する言葉を自由にどんどん出させていく学習である。
C 黒い犬が
C 大きな黒い犬が
C こわそうな大きな黒い犬が
C しっぽの長いこわそうな大きな黒い犬が
と、前の発言を受けて修飾語をつなげていくだけである。
 単純な学習だが意外と子どもたちが乗ってくる。おもしろさが分かってくると、わざと似合わない修飾語をつなげてきて「怪しい犬」作り出そうと必死に知恵を絞り出す。30分近くこの話題で子どもたちは飽きずに次から次へと修飾語をつないでいき、黒板を言葉で埋め尽くした。

 次は、教科書(光村三下)の絵を活用して、言葉で様子をスケッチする学習である。女の子が男の子と犬を洗っている絵である。
 女の子に着目して、言葉で様子をスケッチしていくのだが、どこに目を付ければよいかだけを学習させた。
C かみの毛を見る
C 服装を見る
C 服のスカートの色を見る
C 上の服の色を見る
C 体の動きを見る
C 手を見る
C 足を見る
C 靴を見る
のようにどこに目を付けると女の子の様子がくわしく分かるようになるかを発表させた。できあがった文は、

「黒いかみの毛を赤いゴムで一つにくくった、ピンクのシャツに黄色いジャンパースカートをはいて赤いもようがついた白いくつしたをはいて赤いくつをはいている女の子が、右手に青い色のホースを持って、少し前かがみになって、犬に水をかけています。」

である。子どもたちは大喜びである。長い文が書けたからである。

 この後も言葉でスケッチをする学習を続けているのだが、修飾語を多用して文が長くなりすぎて困るぐらいである。でも、書いている子どもたちは満足そうである。
(彦根市立城南小)