桃太郎のダウトをさがせ <読書のアニマシオンより>
好 光 幹 雄

 日本には昔々から語り伝えられているたくさんの昔話がありますね。みんなはどんな昔話を知っていますか。…今日は、日本の昔話を先生がお話ししますが、あまりよく覚えていないところもあるので、先生が間違ったら「ダウト」と言って、間違いを正しく直してくださいね。
 では、始めます。お話の題は「○○たろう」です。

 むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんがすんでおりました。
 おじいさんは山へ竹をきりに、おばあさんは川へさかなつりに行きました。
 おばあさんが川でさかなつりをしていると、川の上の方から、どんぶらこどんぶらこと、大きな大きなどんぶりが流れてきました。
 おばあさんはその大きなどんぶりを家にもって帰りました。
 やがておじいさんも山から帰ってきました。
「これは大きなどんぶりじゃのう。」とおじいさんはびっくりしました。
 おじいさんとおばあさんが、そのどんぶりを持ち上げて見ていると、どんぶりが手からすべっておちて真っ二つに割れました。
 すると、中からかわいい男の子の赤ちゃんが出てきました。
 おじいさんとおばあさんには子どもがたくさんいたので、二人はもう子どもはいらんと「もう、もう」とたいそうおこりました。
 そこで、二人はこの赤ちゃんに「もうたろう」と名付け大事に大事に育てませんでした。
 さて、ダウトはいくつ見つかりましたか。

 こんな調子で実際に教室でやってみると、「竹をきりに」ではなくて、「柴刈りに」でしょとダウトを探して手を一斉に挙げる子どもたち。
「どんぶらこどんぶらこと、大きな大きなどんぶりが流れてきました」と言うと、
「どんぶりなんか流れてけえへんで。桃やで」と笑いの渦が広がる。

 この導入を1時間してから、教科書教材の物語文『名前を見てちょうだい』(東書2年)へ入る。
「次の時間は『名前を見てちょうだい』でダウトを探すよ。だから覚えられるぐらいしっかり読んできてください。」
と言うと、本当に一生懸命物語を読んでくる。
 次の日から、場面を区切って友だちとペアでダウト探しのゲームを始めた。つまり一人がお話をし、もう一人がダウトを探すのである。教室のあちらでもこちらでも「ダウト」の声が上がり、読み込んでいる様子が分かる。楽しい読書へとつながる物語教材の学習を進めていきたいと考えている。
(大津市立堅田小)