5年 ステップアップスピーチ
杉 澤 周 一

 かつて、学級で始めたスピーチが日ごとマンネリ化して、重苦しい時間を重ねたことがあった。
 そのままでは子どもも私も辛かった。子どものせいではない。私の確かな手だてと、何としても子どもに力をつけたいという情熱が足りなかったと後で気づくことになる。何とかしたい。必要なことは何か。段階を作ることではないかと次のように考え実践した。
 ・全文原稿を書き、○分間話す。
 ・要点をメモに書き、○分間話す。
 ・原稿やメモなしで、○分間話す。
  (○は、1、2、3分間で9段階)

 子どもたちは、このステップに挑戦意欲をかき立てられ、達成感を得ながら、長く継続的にクラス全体が盛り上がった。何人かは、原稿・メモなしで10分を越えた。
 その後、このステップは、話す内容が十分に育たないと思うようになった。だらだら長く話す子どもが出てくるのである。

 この夏、富山大学の米田猛先生が講演で次のステップを示され、これだと思い、次のようにアレン ジして2学期から実践を始めた。
[目標]
 ○自分の思い・考えをわかりやすく伝える力をみんなでつけよう。
 ○話す人の伝えたいことがわかる力をつけよう。

1回目のスピーチ
【話す】 自分の力に合わせて次のようなメモを参考に話す。このステップは自己判断で順次、進む。
 @全文原稿を書く。
 A「はじめ」と「終わり」は、全文原稿を書き、「中」は、要点をメモ書きする。
 B各小段落の書き出しだけ書く。
 C各小段落の要点だけを書く。
 D原稿・メモなし
【聞く】
 ・キーワードと一番伝えたいことをメモに書く。
 ・メモを4人グループで照らし合わせ、必要に応じて自分のメモを補う。

2回目のスピーチ
【話す】1回目と同じ
【聞く】2回目のスピーチをメモと照らしながら聞く。

 その後、Bはステップの段階が違うし、必要ないだろうと考えられるので省き、4つのステップにした。
 子どもたちは、@かAから始めた。Aに挑戦意欲が湧くようだ。聞くことに集中するようになった。
 今、必要なことは確かな動機づけと関心・意欲の継続するような次のような手だてだと考える。
 ◎めざす目標(ねがい)と意気込みをクラス全員と教師が共有すること
 ◎チャレンジ精神と達成感を醸し出す細かい学習段階 [学び(伸び)の実感]
 ◎楽しく明るい雰囲気
 ◎ほめることに徹する時期
(能登川町立能登川西小)