▼書店には教育と脳の関係について論ずる本が並んでいる。教師の常識として知っておく内容の本もあるし、示唆を受けるものも多い。

▼高齢者の痴呆問題からその脳波をとったところ、若い人と非常に違う。それを定量化、数値化するために機械も開発しました、という書き出しで始まる講演記録は、脳について衝撃的な内容であった。(日本教育研究連合会会報・15年8月号)。講演者は森昭雄氏(日大教授)。脳にはα波・β波があり、高齢者、特に痴呆の方はβ波の活動が低下しているということについて詳しく説明された後、「ゲーム脳」についてお話をなさっていた。これはゲーム使用によるβ波の変化である。

▼実験の結果、小学校1年から1日3〜7時間ずっとテレビゲームをやってきていた大学2年の男子学生の場合、安静の状態でもβ波がほとんど出ない。ゲームをやると全く出ない。痴呆以下の状態だったという。1日2〜3時間、週3回のゲーム経験の大学生で同じ実験をした場合、ゲームをやると一気にβ波が落ち、痴呆と同じ状態になるという。

▼ゲーム脳を回復させるには、「モノを大切にする心」「考える力−忍耐と工夫」「五感を使って感性を磨く」等が大切であると森先生は講演を結んでおられる。

▼いろいろな経験をし、創造性を育てる教育の大事さをあらためて思った。(吉永幸司)