体育大会の招待状を書こう
岡 嶋 大 輔司

 体育大会を目前にしてプログラムが渡されると、自分が出場する種目を身近な人に話したりする児童も多いだろう。さらに、それよりも少し早目に、自分が出場する種目を身近な人に伝えることによってもっと楽しみにしてもらおうと、体育大会の招待状を書こうと取り組んだ。自分や友達が練習をがんばっている様子を誰かに向けて書き伝えることによって、いつもより客観的に自分を見つめ、体育大会の練習の励みにもなるであろうと考えた。

 まず、誰に招待状を渡すか決め、「前文」「本文」「末文」「後付け」についての説明をした。
 「前文」を書くにあたって、主に季節を感じられるような文章を考えるようにした。学校だよりや学年通信等を見ているということで、どのような文章を書けばいいのかは意外にイメージしやすいようであった。「前文」についてはしばらくの期間、生活する中で見つけてくるように指示した。


「下校のとちゅうの田んぼには、もう、とんぼが飛んでいました。」
「半そででは少し寒いと思うような季節になってきました。もう、すっかり秋です。」


 子どもらしい楽しい「前文」がたくさん出てきた。そして、それらを発表し合った。いつもやんちゃな子も少々気取って書き、それを照れながら発表して「おお」と感嘆の声を浴びる等、微笑ましい場面もあった。

 「本文」は、自分の出る種目を中心とした見どころ、練習の様子やがんばっているところを書くようにした。「どれも見てほしいから書けない」という子には「絶対に撮ってほしい写真のひとコマ」が分かるように書いてごらんと助言するとうまく絞って書くことができた。


「ぼくがぜひ見てほしいのは組み立てたいそうです。その中でも、ぜったいに写真にとってほしいのは4、5、6年生全員で作る『全員ピラミッド』です。ぼくは左から7番目の一番下の土台をしています。重たくて顔が上げられないけれど、がんばって顔を上げるようにしています。」

 子どもの文章を見ていると、体育の授業の中だけでは見過ごしてしまいそうなそれぞれの子どものドラマが無数に存在するのだなと感じることも多い。

 文章が完成したら背景と枠だけのカードをパソコンで作り、そこに招待状を書いた。
 家の人からは、招待状を見たりそれをもとに話をしたりして、子どもがどんな思いで体育大会にのぞんでいるのかが分かってよかったという感想をいただいた。
(甲賀町立佐山小)