巻頭言
温 故 知 新
岩 本 英 幸

 吉永先生から電話をいただき、少し場違いかなと思いつつ、小学生の頃の「連結器」を書くような少しわくわくドキドキ感が妙に新鮮です。

 さて、私の本業から、ここ数年アトピーや喘息、いわゆるアレルギー疾患、また、小児成人病や登校拒否の子供たちが私ども鍼灸院に来院されます。
 東洋医学の場合いずれも冷えと水の病気「陰性病」であることが説明できます。ここ20年余りは子供の体温も36.5度の標準体温を有している子供はほとんどなく、36.0度を割る子供が多く研究報告でも30パーセントをしめていると言われています。
 私どもの治療は身体を温めることから始まります。その治療中もいろいろな話をしながら、情報を得て、数回の治療とともに子供が進んで話ができるようになってくると、同時に身体も温まってくるのがよくわかります。付き添いの親御さんにも並行して指導しつつ、一番大事な食事の話と生活のリズムのことを説明していきます。

 結局は、家でしっかり食事を正しくいただけるかに戻っていくように思われます。昭和30年代の食事をすることでアレルギー疾患の85パーセントが改善されたという研究報告があります。これは、必要にして十分な粗食で、手間暇かけられた食事をさします。旬のものをしっかり、規則正しい時間に、姿勢よく、正しい箸の持ち方でいただくことが大前提だと思います。
 最近は、ファーストフードやインスタント食品、レトルト食品が多く出回り、冷凍食品も数多く見受けられます。また、コンビニエンスストアの普及にて、食事の時間が動物化し、お腹の減ったときにいつでも摂取できる状態になり、リズムがどんどん崩れていっています。
 同時に母親も料理がまともにできず、両親ともお箸が正しく持てないありさまです。
 子供の治療以前に付き添われているご両親から指導しなければならない昨今。

 先生方の「書くこと・読むこと・聞くこと・話すこと」の指導に共感を持ちます。やはり基本に戻ることですね。やりつづけることが大切ですね。私自身も、自問自答の中、改めて「継続は力なり」と掲げて参りたいと思います。
(全日本鍼灸学会認定鍼灸師)