本棚  LD〈学習障害〉とADHD〈注意欠陥多動性障害〉
上野一彦 著 BK1
講談社+α新書 2003.5 780円
LDとADHD

 LDやADHD、高機能自閉症などについてわかりやすく書かれた入門書である。
 障害児教育から特別支援教育への変革が今始まったところである。しかし今、目の前にいる子どもたちにすぐに間に合うわけではない。学級担任として、ここに書かれていることを知っているのと知らないのとでは、その子たちを理解する上でも、指導する上でも随分違うだろう。

 第1章 LD・ADHDを理解する
 第2章 LD・ADHDの歴史をたどる
 第3章 LD・ADHDの実態と定義
定義とか診断基準というものは、われわれの理解のために囲ったり、線を引いたりする行為に他ならない。その行為は、新たな治療や有効な指導を導くための前提であり、人々が求めるのは診断名だけではない。人々が何よりも求めているのは「個々の必要に応じた支援」であるということを忘れてはならない。(p77)
第4章 なぜLD・ADHDになるのか
 第5章 LD・ADHDへの気づきと判断
「障害は理解と支援を求める個性である」ということ、そしてその支援をサービスとしていかに子どもに提供できるかが教育である。(p117)
第6章 LD・ADHDへの対応−−個性とのつきあい方
LDやADHDを理解することはとりもなおさず、個性を理解することであり、人間を広く、深く理解することである。こうした考え方が浸透すればするほど、彼らだけでなく、すべての子どもたちの個性を尊重しながら自己実現を図る教育を広げていくことにつながっていく。(p157)
第7章 LD・ADHDよ、世界へ羽ばたけ
(常諾真教)