作品と出会う、作者と出会う
中 嶋 芳 弘

 一人ひとりの思いに応じることのできる指導体制の一つとして、国語科でも「少人数指導」を進めている。昨年度から取り組んできた6年生には、この学習が好きだと答える子がたくさんいる。そんな6年生に「話す力」をより一層育てたいと取り組んだのが「作品と出会う、作者と出会う」の学習である。
 全ての子どもたちに、
 ○これまで出会った作品や作者のよさやすばらしさについて、作品の内容と自分の感想・意見とに分けてまとめること。
 ○聞き手が納得するように、話の組み立てや目的・場に応じた話発表の仕方を工夫すること。
ができるようにしたい。

 まず、オリエンテーション。子どもたちは、これまでの読書生活を振り返り心に残っている作品・作家を確かめた。そして、「友だちにも読んでもらおう」とすすめたい作品・作家は何・誰かをワークシートに書き込んだ。同時に、自分ならどのコースで学習したいかを考えた。「相手を納得させる話し方で伝える」力には、個人差がある。今回の少人数指導では、学習形態を工夫して、次の3コースを示した。子どもがコースを選び、4クラスが5グループに分かれて学習を進めた。

内容コース」 じっくりと発表内容を考えていくコース→発表のテーマを決めたり、発表する内容を書きまとめたり、まとめあげた原稿を話し言葉に置き換えて発表原稿に書き直したりすることに時間をとる。(1グループ)

話し方コース」 発表の工夫に時間をとって練習するコース→声の大きさや話す速さ、言葉の使い方について、小グループを作り、数人の仲間と互いに評価し合って工夫していく。(2グループ)

プレゼンコース」 プレゼンテーションのカを高めるコース→発表する内容に応じて、効果的な資料や例示物を用意し、発表原稿を読まないで進めるプレゼンテーションを目指す。(2グループ)

 各コースに分かれて少人数指導による学習が始まった。はじめの2時間で「自分の紹介したい本や作者を決め、どのように伝えるかを文章に書く」ようにした。その後、原稿を練って2人で互いに聞き合って「話す練習」を進めたり、3〜5人のグループで聞き合ったり、手に資料を持って示しながら発表したりと、コース毎に話しやすい状況を作り出して練習を進めた。次は、仲間や教師の意見を聞いて発表の内容や話し方などを改善していくための時間。子どもたちは、次第に自信を持って穏やかな表情で発表に臨めるようになっていった。
(彦根市立旭森小)