音 読 を 通 して
好 光 幹 雄
2年生の物語文で登場人物の心情に迫るというめあてで学習をすることにした。そこで、手だてとして、ある場面の会話文を取り上げ、どのように言うと登場人物の気持ちにぴったりくるかなというかたちで学習を進めることにした。 教材文は、やましたはるお作「手紙をください」(東京書籍2年上)。ここでは次の教材文の学習の様子を紹介する。登場人物は、ぼくとかえる。 つぎの日、ぼくが手紙をとりに行くと、あのかえるがめがねをかけて、はがきを読んでいた。 @「ずるいぞ。よそのうちの手紙だまって読むなんて。」 ぼくはかえるに言ってやった。するとかえるは、こう言った。 A「ここは、ぼくのうちだ。うちに来た手紙は、ぼくの手紙だ。」 B「だって、あて名がちがうだろ。手紙は名前を書いてある人の物だよ。」 ぼくは、かえるに言った。 C「じゃあ、どうすれば、ぼくにも手紙が来るんだい。」 かえるは、うで組みしてぼくにたずねた。 D「そりゃ、じぶんからも手紙を書けばいいのさ。手紙をくださいって。」 ぼくは、かえるに教えてやった。 本時の場面を一読した後、@とAの会話文は誰が言ったのか確認する。その後、どのような言い方をすればよいか子どもの考えを聞く。怒ってるように。早口で。大声で等々。しかし、子どもが「怒ってるように言う」と言ったのにもかかわらず、発表させてみるとにこにこ笑顔で@の会話文を言っている。 そこで、今のは「本気になって怒って言ったの」と聞いてみると「いいえ」という返答。では、 「本気になって怒って言って見ましょう。本気で怒るんだから本なんて読んでちゃだめだよ。せりふを覚えて自分が怒ったつもりで言わないといけないよ。顔もこんな風に(私が怒った顔をしてみる)怒った顔をしてやってみよう。」 こうして、@の会話文をいろいろなパターンで練習してみると会話文でも全然感じの変わったものになることが学級全員で確認できた。 文字を音に載せて聞くことは低学年では特に大切である。Aも同様に、どのように言うとよいのかその根拠を本文に立ち返って考えた。そして、@とAを隣の席の子とペアになってぼく役とかえる役になって練習してみた。練習後、何組かに発表してもらうと以前とは全然違うほど気持ちや様子が分かる会話文の音読になっていた。BCDの会話文についても同じように進め、最後にはこの場面全体を通して練習し発表し合った。 「今日は、ぼくとかえるさんに本当になったつもりで言えたら百点だよ」と言うと、どの子もにっこりうなずいた。 (大津市立堅田小)
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