あ め
伊 庭 郁 夫
「ざんざか ざんざか ざんざん ざかざか」 「ざかざん ざかざん ざんざん ざかざか」 教室に子どもたちの声が響く。これは、「あめ」(山田今次)の一節である。紛らわしい言葉もあるが、子どもたちは、正確に覚えていく。 この詩の主な学習の流れは、次の通りである。 (1) 「あめ」を繰り返し読み、暗誦する。 (2) 「あめ」を視写し、詩の特徴(秘密)を見つける。 (3) 班ごとに群読練習をし、ビデオに録画して見る。 詩は、繰り返し声に出して読ませたい。その中で、リズムや内容をつかませる。 「あめの題名と作者を教科書を見ないで言えるかな。」 「最初の2行を覚えよう。」 「あめの詩を、1ページ覚えられるかな。」 このように、少しずつ高いハードルにしていく。中には、「あめあめ……」の繰り返しの時、指を折っている子どもがいる。8回の繰り返しである。 「1ページは覚えよう。」 と話すと、中には全部覚えてくる子がいる。その子に刺激されて、他の子が続く。覚えるというのは、繰り返し練習するということである。最初に「ざんざん ざかざか」などを正確に覚えると、驚きと賞賛の声があがる。 家庭訪問の中で、うれしい話があった。 「本読みの宿題があるときは、聞いて聞いてと言いながら、私やおばあちゃんをつかまえて一人ひとりに本を読んでくれるんですよ。」 確かに、Sさんは声量や速さ、発声などがよくて聞き惚れる時がある。その陰で、意欲的に音読していることがよくわかった。 ある日の放課後、子どもたちが詩の本を手にしながら話している。 「先生、あめの詩が載っています。」 そのページには、雨が横なぐりに降っている挿し絵がある。 「先生、楽しい詩があります。」 題名は、「けんかして」で、書名は「けんかした日に読む本」(偕成社)である。すると、A児がその詩を言い出した。 「あの子が わるい ほんとに わるい ぜったい わるい わるい わるい わるい……」 何と、全部覚えているという。他の子も楽しい詩があると言って持ってくる。せっかくなので、楽しい詩を39名分印刷して、全員で次の日に音読することにした。 群読も、録画することで緊張感が生まれる。その場で、すぐにテレビを通して見る。1年間、音声や文字の記録を残していきたい。 (安曇川町立安曇小)
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