巻頭言
最近の親や教師に”『教育愛』を”と訴えたい
山 口  治

 教員生活51年、食養生活60年、人生76年の生活を顧みて、最も大切なことと言えば、”幸せで健康に生きること人生だ”と考えています。

 幸せに生きる健康を維持するためには、@地球環境の浄化(よい空気・よい水・よい土壌) A愛の心 Bよい飲食物(未精白米や雑穀類・πウォーター・電解還元水・ミネラルたっぷりの自然水・豆類・生野菜や温野菜・果物類・新鮮な魚介類等を自然塩や発酵食品…みそ・醤油・米酢等で味づけ、歯の構造を考えて一口30回以上噛んで食べる) Cよき生活習慣 D適度の運動 E心身の休養 Fプラス思考・精神修養 Gよき人との出会い Hよき仲間づくり I人格の完成(悟り)ーーと考え一期一会の心境で生きています。

 ところで、今日の世相を反省考察するとき、現代の親や教師に訴えたいことがある。それを一言で言えば教育愛≠ナあります。それには次の三つの愛があります。

 一 アガペー(Agape)=宗教愛・絶対愛・無差別平等の愛。成熟者の教師から未成熟者の児童・生徒への方向をとる児童愛・生徒愛。換言すれば、教師はどんな児童・生徒も差別せず、自らの利害を度外視してひたすら児童・生徒の成長と幸福を願い、彼らが自分を愛し返してくれることを求めず、むしろ、児童・生徒が自分より成長していってくれることを喜ぶ愛。

 二 エロース(Eros)=価値愛・価値向上の愛。真・善・美・聖のイデアなどを愛する愛であり、それらを獲得することを喜びとする愛。換言すれば、親や教師が子どもや児童・生徒に対して、彼の心のなかにエロースの愛を目覚ましめ、学習の意欲や向上の意志を呼びさまし、価値高きものを獲得することを喜び励むようにする愛。

 三 フィリア(Philia)=人格愛・友愛。夫婦愛。相互が平等な人格として愛し合う愛。これを教師の立場からみれば、教師は児童・生徒のうちにとびこみ、友愛のように児童・生徒と共に生き、師弟同行の生活をしていく愛。

 つまりどのような子どもも児童・生徒も無差別・平等に愛するアガペーを根底とし、真・善・美・聖・健・富への価値向上をめざす愛のエロースをもち、師弟同行の友愛フィリアの生活実践を志していくという教育愛≠ェ、現代の親や教師に求められていると思うのであります。
(神戸親和女子大学名誉教授)