動きの中から新たな発見 動画コンテンツ
高 野 靖 人

 本校では、本年度自作の動画コンテンツを授業で活用する機会が2回あった。

 1度目は、5年生の「総合的な学習」で私が作成した。地域学習の補助教材として用いたもので、学区内の川と大津市の清流とを上流・中流・下流に分けて比較したものである。デジタルビデオで撮影したものをコンピュータに取り込んで、コンテンツ化し、更にネットワークで利用可能な大きさに圧縮した。
 単に見比べるだけならビデオのままでも可能なのだが、子ども達自身の操作によって、気になる場所で一時停止をしたり、短い範囲を繰り返し再生してチェックできるのは、動画コンテンツの利点である。班別に発見したことを交流する中で、撮影者の私も気づいていなかった生き物のかすかな姿を見つけた班があり、大型プロジェクターで確認作業をすることで、動画コンテンツの値打ちも再確認することができた。

 2回目は、3学期に1年生が実践し、コンテンツも1年担任が作成した。1年生は、生活科で昔遊びなど(こままわし・お手玉・一輪車・まりつき・あやとり・皿まわし・けん玉等)に挑戦しており、選択した遊びに目標を持って取り組んでいる。こまやお手玉の名人(ゲストティーチャー)にも刺激を受けて、休み時間にも練習を重ねていた。さて、その成果を学年で発表し交流することとなり、その方法に担任も困った。その場で実演するのが一番いいのだが、大人でも緊張する生実演を1年生に強いるのは無理である。そこで、担任が、子ども達のうまくできた場面をデジタルビデオで撮影し、遊び毎に編集してコンテンツ化していった。学級によっては、小集団による合体技を完成させているグループもあり、それらも加えられて編集された。

 初めて自分の動く姿をパソコンの中で見つけた1年生の喜びや興奮ぶりは、参観している我々にも伝染するほど大きなものだった。撮影された自覚はもちろんあるのだが、動画コンテンツとして生まれ変わることは、子ども達にとって意外だったようだ。しかも、上手にできた場面だけが編集されているのだから、繰り返し見たくなるのも当然である。
 この後、遊びグループで学年で交流するために、コンテンツに合わせて発表するための計画と練習を1年生は進めていった。

 テレビやゲームなど、動画的刺激に慣れている現在の子ども達には、単に動画コンテンツを見ただけでは驚きも感動もない。その内容や見せるタイミングなど付加的な要素がなければ、作成の労多くして結果は…になりかねない。その意味では、課題と共に成就感も味わえた2つの実践だった。
(大津市立仰木の里小)