詩 が で き ま し た
西 村 嘉 人

 時間にゆとりがあると子どもたちに取り組ませている言葉の連想ゲーム。回数を重ねるたびに子どもの語彙数が多くなってきた。
 3学期に入ってから、学習の間隔を空けながら「冬」をテーマに3回ほどやらせてみた。
 「冬」→「寒い・雪・氷・つらら・一月・こたつ・ふとん・母さんのうなり声・風邪・雪だるま・鍋・みかん・テレビ・大そうじ…」。黙って聞いているといつまででも続きそうな様子で言葉の連想を楽しんでいる。

 この連想ゲームででてきた言葉を「詩」を作ることに生かしてみようと考えた。
 手順は次の通りである。
 (1) 連想ゲームの言葉から、いいなあと思う言葉を2つ以上選ぶ。
 (2) 選んだ言葉を自分が思いついた通りに並べてみる。
 (3) 並べた言葉をながめながら、思いうかんだ様子を「詩」に表してみる。
 適当に並べた言葉を手がかりに新たにイメージを作り「詩」を作るのである。
 作りはじめてすぐに作文の学習が大嫌いなN児が、「こんなんでいいの?」と聞きに来た。
 
   冬の寒さ    N・K
 外に出ると寒い
 冬は寒い
 毎年 冬はなぜ
 寒いのだろう
 冬はなぜ寒いのだろう
 冬はなぜ
 雪
 雲の上は
 大そうじ


「最後の二行がものすごくいい!」と、教室中に聞こえる大きな声で誉めた。そして、その場で声に出して読み、最後の二行を再び誉めた。
 N児の詩が学習の刺激になり、子どもたちが詩作りに向きだした。
 学習の後で、作った詩をワープロでプリントして教室に貼りだし読み合った。

   一日の間に    N・A
 朝は雪が降っていたのに
 今は雨に変わっている
 一日の間に雪になったり
 雨になったり
 とっても不思議
 どうしてなんだろう
 きっと
 空にも事情があるんだろうなあ


 多くの子どもたちが選んだお気に入りの詩である。最後の一行がとってもいいという理由で。
 もちろん私も気に入っている。
(彦根市立城南小)