地域と学校が連携しながら子どもを育んでいくために
中 嶋 芳 弘

 各町の子ども会では、年間いろいろな行事がもたれているが、多くは「世話役」の保護者が企画運営して、子ども達がそこに集められるという形になっていた。
 子どもたちをお客さんにしないで、計画段階から参加させ、それぞれに役割を分担させてこそ、子どもたちも地域の一員としての自覚を高め、「生きる力」を付けていく。子どもたちは、学校で特別活動や教科の学習の中で、「リーダー性」「思いやり」「心配り」「計画力」「実践力」「チームワーク」「我慢すること」などたくさんの力を身につけている。町の行事で、その力を活用したり、応用したりすることでこそ「生きる力」をさらに高めていける。

 地域の行事を、少しでも子どもが主役になって進めていけるようにと、いくつかの子ども会が、事前に学校や地域の集会所で、子どもたちと話し合いの時間を持った。そして、地蔵盆や夏祭り、旅行、レクリエーション、クリーン活動などの企画に高学年の児童が参加し、計画を立てたり、案内文やポスター、掲示物を書いたり、グループ行動のリーダーになったりという活動を繰り広げた。
「親が企画して進めてしまう方が楽である。しかし、参加型・体験型の行事の方が子ども達の表情が生き生きとしている。」
取り組み後の役員の方の感想である。

 1月のある日、N町の子ども会から、「3月の歓送迎会を子ども主体で進めたい。5・6年生と話し合いの場を持つので、先生も出席してアドバイスを」とお誘いをいただいた。
「お楽しみ会で、ビンゴゲームがしたいな。」
「新1年生も来るし、お菓子のつかみ取り大会も楽しいよ。」
「ビンゴゲームの景品に福袋を用意しよう。お買い物して、袋に入れて準備するの楽しそう。」
「○×ゲームもいいな。」
「胸に付けるお花もあるといいと思うんだけど…。」
「5年生の女子で作ろうか。」
子ども達の力で進められることが見えてくる。

「行事全部を子どもに、と考えなくてよいのです。子ども達にできること、楽しそうなことを子ども達が計画し、準備や進行ができて、それがこの町の子ども会で続いていけば……」と私。
「待ちの教育が大切ですね。与えてしまったらそれまでです。声をかけられなかった子に声をかけられるようになったということはないですか。」
地域連携協議会での学校長の言葉を思い出していた。
(彦根市立旭森小)