音読を中心にした「読むこと」の学習
岡 嶋 大 輔

 国語の教科書に載っている文章を見ると「音読しよう」といつものように皆が口をそろえて言うぐらい、本学級の児童は音読が大好きである。なかなかすらすら読めない児童も、早く上手に読めるようになりたいと張り切って読んでいる。
 このようなせっかくの音読好きの学級なので、物語文「名前を見てちょうだい」(東書2年下)で、皆がすらすら音読できるぐらいまでこってり音読をし、それから内容に入っていこうと考えた。

第1時は、姿勢よく間違えずに音読することをめあてにして学習を進めた。教師の範読を聞き、一斉に音読し、1文ずつ交代で音読する等、本文に慣れながら音読できるようにしていった。

第2時は、はっきりとつまらずに音読することをめあてにして学習を進めた。姿勢、口の開け方、読む速さ等、いくつかの細かい点に気を付けるようにし、それができているかどうかをビデオに撮って自分で確認できるようにした。「口を開けて音読しているつもりでも、そんなに開けられていなかった」等と自己評価している児童や「○○ちゃんの口の開け方がよかった」と、友達の読み方の良さに目を向ける児童がいた。

第3時は、適切に間を空け言葉の意味や感じを大切にしながら音読するということをめあてにして学習を進めた。文字を追うのではなく、言葉や文を追って音読するよう説明した。一言ずつ指で押さえながら音読したり、会話文を役割分担して音読したりした。気をつけて音読したいところを出し合うと「ぎゅうっと」「ちょこんと」等の様子を表す言葉や「へんねえ」等の会話文が出てきた。

 そして、それを第4時につなげ、どうしてその部分をそう音読するのかという「わけ」を出し合った。「う、め、だ、え、つ、こ。うふっ。ありがとう。」という会話文では「うれしい気持ち」「ありがとうという気持ち」等が出てきた。そのように音読した訳も「ぼうしが飛ばされないようにぎゅうっとかぶっているから。」等とたくさん出てきた。

 その後、音読をする中で見つけた気に入ったところや気づいたこと等を交流していった。そして、同じ主人公の物語や同じ作者が書いた物語を読み、本単元で学習したことを生かしてそれらを紹介する場を設けた。
音読を中心に学習を進めてよかったと思うのは、全員がすらすら読めるようになったということと、全員が言葉に基づいた自分の考えをしっかり持って交流できたということである。
(甲賀町立佐山小)