本 と 作 文
三 上 昌 男

 読書の秋。4年生の学級で、本と作文指導を関連づけた学習に取り組んでみた。

 一つは、他校の4年生と 読書郵便 を交換し合った。
「隣の学校の4年生に本を紹介する作文を書きたいと思います。紹介したい本を選んでおきましょう。」
と予告をしておき、本時を迎えた。相手がどんな人かわからないので、相手に合わせた本選びというより、同じ4年生だということで、自分が読んで気に入っている本をそのまま選んでいいと助言しておいた。作文のタイトルは、
 (  )が好きな人に、「  」という本を紹介します。
という形式を提示した。例えば、(伝記)が好きな人に、「ヘレンケラー」という本を紹介します。自分が選んだ本なら、何が好きな人にお勧めかを考えればいい。「好きな人」という表現以外はだめかと質問してくる場合がある。自分なりに工夫しているのであり、もちろん認めてやりたい。
 読んで欲しい本のよさやおもしろさを短い文章で紹介するのが主な目的だが、読書郵便ということで、書き出し・結びの文にも工夫するよう働きかけた。子どもたちは、いつも以上に丁寧な字で書き上げることができた。相手校から返事が届いた時には、たいへん喜んだ。

 もう一つは、科学読み物の本を使って、「○○のふしぎ発見作文」と名付けたクイズ形式の作文に取り組んだ。段落に気を付けて書くことをねらいに、3つの段落構成を次のように示した。
 (1) ○○の紹介
 (2) 本の中から見つけたクイズ
 (3) クイズの答えと解説

作文例 「火山のふしぎ発見」
 みなさんは、火山のことをどれくらい知っていますか。火山には、ふしぎなことがいっぱいあります。そこで、火山について説明しましょう。・・・略
 ここで問題です。火山が噴火する時、岩石は何メートルの高さまでふき上げられるでしょう。
 噴火した後、噴煙にまじって飛び出した大小さまざまな岩石が、・・・略・・・ということで、正解は3000メートルでした。


 問題に選択肢を作った子どももいた。書き上げた作文を紹介し合う場では、聞き手も参加できて、クイズ番組風の発表会になった。
 アンケートによると、読書感想文が最も嫌われる作文のようである。本好き・作文好きの子どもを育てるためにも、本と作文をつなぐ楽しい学習を考えていきたいものである。
(近江八幡市立金田小)