主 題 を 考 え よ う 「海のいのち」
好 光 幹 雄

T 「海」という言葉から何を連想しますか。
C 青い。空。魚。広い等。(全員発表)
T では、「いのち」という言葉からはどんなことを連想しますか。
C なくなる。短い。赤ちゃん。大切等。(全員発表)
T では、「海」と「いのち」の二つの言葉を一つにして「海のいのち」という言葉からはどんなことを連想しますか。
C 海の生き物。生存をかけた戦い。未知の世界。共存等。(全員発表)
T 今、「海のいのち」から連想したことをノートに書いておいてくださいね。それでは、同じく「海のいのち」という題名のお話がありますので、これを今日から学習しますが、今読む前に同じ言葉から連想したことと、このお話を学習してから連想したこととどのように変化したのかを後で見てみましょう。

 このような導入で「海のいのち」 の学習が始まった。2、3回通読をした後、「海のいのち」から連想することを発表し合った。すると、ほとんどの子が「大魚」と言った。その根拠を聞くと、「大魚はこの海のいのちだと思えた」という一節があるからである。
 しかし、子どもたちは、なぜ主人公太一が大魚を海のいのちと思ったのかはあまり深く考えていないようである。また、「海のいのち」そのものについてもあまり考えていないようである。既に、主題に迫る感想や発言が多ければそれを深める学習に入ったのだが、主題に迫るためにはもうワンステップ必要と考えた。

 そこで、太一がなぜ大魚を海のいのちと思うようになったのかを探ろうという課題で学習を進めることにした。この課題を解く鍵は作品の中に隠されているはずだよということで、作品の中でよく出てくる言葉や会話文に、注目してみようというヒントを与えた。
 しばらくして、グループ討議をさせると、太一にとってのお父の存在、お父や与吉じいさの言葉や海に帰られたという太一の言葉、大魚の様子などを挙げて話し合うようになった。
 そこで、グループ討議の後、再度「海のいのち」という言葉に込められている作者の思いや読者へのメッセージ、つまり主題について考えることにした。

<主題に対するAさんの感想>

 私は、お父の「海のめぐみだからな」という言葉と、与吉じいさやお父、つまり漁師たちも海に帰っていったというところから、みんな海のいのちなんだ。海って大切なんだとか、自然と人が共存できる環境を考えてほしいという願いがあるんだと思いました。
(大津市立堅田小)