本棚  現場から見た教育改革
永山彦三郎 著 BK1
ちくま新書 2002.2 680円
現場から見た教育改革

 著者は栃木県の現役公立学校教員である。著者の主張を要約すると、「現在行われている教育改革の理念はすばらしい。しかし、教育・学校のシステムがそれを実現できるようにはなっていない」ということになる。

 「第1章 現場から見た教育改革」と「第2章 総合学習と学力低下」では、ここ10年間の教育改革が学校現場にどう受け入れられたのか、あるいは受け入れられなかったのかが具体的に語られている。
 「第3章 ヤンキー化(不良化)する地方、そして学校」では、この30年間に地方の良さが姿を消し、東京的になってしまったことと子どもの変化が関係づけられている。
 「第4章 大人はどうあるべきか」では、大人がもっと成熟しなければ社会は成熟しないと結論付けられる。
 「第5章 新たな教育・学校システムへ」では、「右肩上がりの社会に適切な人材を割り振る役割」としての学校システムは、その役割を終えたから、新しいシステムが必要だと述べられる。入り口から出口への改革であり、選択肢を増やすことであると言う。具体的な改革案が提案されている。すぐに実現することは難しいだろうが、もっと論議されるべき問題である。(常諾真教)