本棚  インターネット書斎術
紀田順一郎 著 BK1
ちくま新書 2002.2 680円
インターネット書斎術

 帯には、「四畳半を大博物館に。速い検索法、調べものの極意、書斎づくりのコツ……知的生産のためのインターネット徹底活用術」と惹句が書かれている。

 1.私のインターネット書斎放浪記
 2.インターネット書斎のコツ
 3.インターネット、ここが使える、使えない
 4.文系ホームページの挑戦
 5.インターネットで本探し
 6.インターネット読書の楽しみ
 7.新しいインターネット書斎のために

 しかし、私自身が関心をもったのは、インターネットと日本語との関係を論じた部分である。
 インターネット文化とは、「引く」文化、「参照する」文化だと著者は言う。そのためには、データベースがあって、検索できなければならない。最近は検索エンジンの性能もよくなってきているが、そこに日本語特有の問題がある。例えば、「コンピューター」で検索するのと「コンピュータ」で検索するのとでは、結果は違ってくる。「霞ヶ関」「霞が関」というような地名でも同じである。読む際には問題にならないが、検索には不便である。日本語には正書法がないために、このような曖昧さがつきまとう。
 年号は「昭和10年」「昭和十年」「昭10」「1935年」「一九三五年」など、人によって様々な書き方をする。表記が統一されていないので、すべてを検索するのはたいへんである。インターネットにふさわしい記述のルールが必要になってくるだろう。
 また、日本文化には、「索引」の概念がなかったという指摘も興味深い。(常諾真教)