「 言 葉 っ て 不 思 議 」 を 引 き 出 す
吉 永 幸 司
1、自分の言葉で 「自分の言葉で表現するって何だろう」ということを課題に授業に臨んだ。一人勉強の授業は子どもの本音が出てくる。 「海は、大きな宝の箱だ。」という人たちがいる。 この一文を板書した。そして、ノートに写させた。発言を待ったが出てこない。写すという指示に従って書いたのに、それ以上何を求めているの?と問われているような妙な空間が生まれる。 T 私はこれを読んだとき、「人たちがいる」という言い方は正直だと思いましたよ。「海を宝の箱」って考えていなかったから。私は「人たち」の中には入っていないもの。 写しながら、考えたことを忘れるといけないから「私は?」って横に書いておきました。 というようなことを話し、板書に付け加えた。 C 思ったことを書いたらいいのかな。 C 線を引いたらいいの。 しばらく待っていたらこのようなことを言い出す子が出てきた。何か心に浮かんできたらしい。 C 「大きな宝の箱だ。」ってあるけど「広い」ではいけないのかなって思いました。 C 「海は」これはどこの海かなって思いました。 本当に思ったかどうかは分からないが、なんとか考えようという姿勢を強く感じた。自分の言葉が生まれていると感じた。第一段落を視写させながらつぶやきを書き込ませた。 2、自分のキーワードを探す 少し読みの意識を高めることを意図して、次のように働きかけた。 T 「しかも、宝の多くは、いまだ手つかずのまま海の中でねむっており」と書いている。二つのことを思ったのだけど。 二つということが効いたらしい。表情が変わり、緊張したような雰囲気が生まれた。 T 「多くの宝」でなく「宝の多く」ということと、「ねむっている」人間みたいだね。 遠回しに、表現に着目をさせることを意図した。子ども達は、これを発問と受けとめ、「多くの宝」と「宝の多く」の違いを説明しようとした。しかし、それを止めて、子どもが「キーワード」を探す方向へと広げていった。「似た言葉」 「よく出てくる言葉」などに目を向けるように働きかけた。 指導場面は次の機会にしたい。 (京都女子大学)
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