受 け と め て 話 し 合 お う
川 那 部 隆 徳

 本学習は、様々な設定のもとで話し合う体験を通して、楽しい話し合いのひみつに気づくとともに、支持的な雰囲気のもとでテーマについて互いの考えを受け止めながら話し合うことができることをねらいとしている。自己や他者の考えを理解し、互いに認め合う人間関係づくりをはかることを目的として構成した学習である。

【授業の実際】
楽しい話し合いをするひみつをみつけよう」を学習のめあてとして、4〜5人からなる8つの生活班(当日に新たに構成)をグループとし、テーマ「こんな学校だったらいいな」について、次のような設定で話し合う場をもった。
(1) 話す人の目を見て、うなずきながら聞いたり話したりする場合と、しない場合。
(2) 友達の発言に対して、「そういう考え方もあるね」など受け止めてから自分の考えを言う場合と「え〜」と否定する場合。

<各々の設定の話し合いを体験後>
C 話しているときに、こちらを見てうなずいてくれると、私の話をしっかり聞いてくれているんだなあと思って話しやすかったです。
C 違うところを見ながら聞いていると全然聞いていてくれてない感じがして、だんだん腹が立ってきました。
C そうそう、無視されているような気持ちになった。
C でも、こんなふうに(実演)うなずくことを大げさにしたり、そういう考えもあるねというのをいつもいつも言ったりしていると、逆にわざとらしくて馬鹿にされているような気持ちになってくるから、やりすぎるのもいけないと思います。
T なるほど、うなずきながら聞いたり、相手の考えを受けとめたりするのもわざとらしくなったらいけないということだね。 (後略)

 このようなやりとりが続いた後、授業の終末では、「自然な話し合いをする」ことが楽しい話し合いのひみつの一つだということに子どもたちは気づいていった。
 次時は「自然な話し合いとは」についてその意味を掘り下げたあと、見つけ出した「ひみつ」を駆使しながら、様々なテーマについて、グループで話し合い、受けとめ合いながら話し合う心地よさを味わう時間とした。

(コミュニケーション科:文部科学省研究開発学校として、既存の教科を溶かし込み、再編し、生み出した教科の一つ。人とのふれあいから豊かなコミュニケーションをとるための、技能・感性・思考力を育むことをねらいとしている。)
(滋賀大学教育学部附属小)