本棚  若者の法則
香山リカ 著 BK1
岩波新書 2002.4. 700円
若者の法則

「今どきの若者の、一見理解不能・非常識とも思える行動の奥には、彼らなりの論理にもとづく真剣な思いや悩みが隠されている。」(カバー裏)
 それを読み解く鍵が、本書で説明されている6つの法則である。その法則を知ると、「若者たちが彼らなりのやり方で、大人や社会全体に向かって言おうとしている何かが、おぼろげながら見えてくるはずだ」(まえがき)と著者は言う。

1 「確かな自分をつかみたい」の法則
2 「どこかでだれかとつながりたい」の法則
3 「まず見かけや形で示してほしい」の法則
4 「関係ないことまでかまっちゃいられない」の法則
5 「似たものどうしでなごみたい」の法則
6 「いつかはリスペクトしたい、されたい」の法則

 たとえば、4番目の法則から、「電車」の項。
 電車の中での傍若無人のふるまいにしても、「仲間以外はみな風景」だと思っているので、他の人間が見えていないだけなのである。

 教師の間でも「子どもが変わった」という話がよく出る。小学生はまだ「若者」とは言えないかもしれないが、本書の「法則」を当てはめてみると、納得できる部分がある。子ども理解のためにも役立つ。(常諾真教)