ふ る さ と 作 文
中 嶋 芳 弘

 市や県の作文募集、企業からの作文募集。雑誌出版社から……年間にどれほどの作文の募集があることだろう。
 インターネットのある検索エンジンに「作文募集・小学校」と打ち込んで出てきた数は、1130件であった。
 トップページからその募集内容を拾ってみると、
「我が家の交通安全作文」
「交通安全ファミリー作文」
「国土と交通に関する図画・作文」
「○○電力の社会貢献活動−−子供のコンクール」
「水にやさしい暮らし 子ども作文」
「税に関する作文」
「人権に関する作文」
「夏休み作文」
「消防の図画・ポスター・作文」
 その内容は交通・ボランティア活動・環境・家族・人権・金銭・衣食住と多岐に渡っている。たいていは、1000字程度、原稿用紙3枚くらいの募集が多い。

 さて、わたしは担任した子たちに、1年で200字。2年で400字。3年で600字。4年で800字。5年で1000字。6年で1200字。そのくらいはの文は抵抗無く書く力を付けたいと思って指導してきた。募集を企画する人たちはどんな思いでそうされているのかはわからないが、このあたりが妥当だと考えているのであろう。
 読みよいか、テーマはあるかそういったことはさておいても、高学年なら自分の思いを伝えるために千字程度の文を書けるようにしておきたいものである。国語の時間の学習だけでなく、毎日の日記指導。朝学習の時間の短作文学習の積み重ねによっても力を高めていきたい。

 読み手を引きつける作文の力、きちんと作文を清書する力はどこで付けると良いか。わたしは、ご褒美付きの作文募集は、「うまく活用するべし」と思っている。
 たとえば、「ふるさと」についての作文の募集があったら、「ふるさと」から連想する言葉や書いてみたいことをどんどん発表させ、黒板に書きためてやる。「ふるさと」「川」「こいのぼり」「おじさん」「紅葉」「桜」……こういう言葉の山が、書き進めるヒントになる。
 そして、募集要項を説明し、自由課題として取り組ませる。自分で選んだ学習メニューである。意欲をかき立てられた子ども達は、応募できる作品に練り上げていくことに一生懸命になる。書き出しの工夫。「 」 を効果的に使ってみよう。……良い作文にするために課題を乗り越えていくのである。
(彦根市立旭森小)