言 葉 の 総 合 的 な 学 習 <毎月の俳句>
好 光 幹 雄

 10年以上続けてきた俳句の指導の成果を拙いながら示したところ、同僚の理解を得ることができ、総合的な学習の一環として、俳句を通して言葉の総合的な学習を6年全体で取り組むことになった。進め方は、私が他学級に俳句の授業で入ったり、私の俳句の授業を同僚の先生たちに参観してもらって授業をしてもらったりしている。
 授業のスタイルは1時間の前半を毎月の言葉(季語)を学ぶ時間とし、後半に俳句を作るというものである。

 4月はやはりなんと言っても花。「花」をテーマに次のような授業を試みた。
T 4月と言えばみんな何をイメージしますか。
C やはり桜ですよね。
T はい、何と言ってもやはり桜ですね。ところで桜のことを他の言葉で何と言いますか。
C え、他に言い方があるんですか。
T はい、あります。みんなもよく知っているよ。桜を見に行くことを何と言いますか。
C 花見です。え、花。
T はい、桜を見ることを花見というように、日本では昔から花と言えば桜のことを指しました。
 そこで今日は、この「花」をテーマに言葉の勉強をしてみましょう。
 みんな花見に行ったことはあるね。では、遠くから見て、山の麓全体がピンク染まって花がいっぱい咲いていそうだなとか、公園を遠くから眺めるとピンクの綿菓子のように見えたりしたことはありませんか。実はこういうのにも言葉があるんだよ。
C 花の綿菓子。
T うん、それに近いな。空に浮かんでるものです。
C 雲?
T はい、雲です。山全体や辺り一面がピンクに染まってちょうどピンクの雲が浮かんでいるように見える様子を「花の雲」と言います。

 このようにして「花」をテーマに言葉を広げていく。
 花の雲、花の窓、花の門、花の道、花の宿、花の主、花明かり、花曇り、花月夜、花の雨、花冷え、花吹雪、花筏等、今までに見たことや経験したことでも、それを表す言葉を知ることによって体験が豊かな経験へと質を変えていく。

 花の道いっしょに歩こう気楽にね    赤崎久美絵
 一年生心おどらせ花の門        長谷川里美
 花の宿家族で行けたらうれしいな    川井良太
 花吹雪おとなりさんへお手紙だ     永井里奈
 歓送迎人影絶えぬ花月夜
(大津市立堅田小)