▼新学習指導要領が公立小・中学校で一斉に実施される。完全学校週五日制に伴い学習内容を3割カット、「総合的な学習の時間」などを通して、自ら課題を見つけ考える「生きる力」を養うーー大きな特徴はその二つ。

▼指導要領の実施前から、「総合的な学習の時間」の成果を危惧したり、基礎学力低下が論じられたりしてきた。しかし、仮定の論議は止めにしておいたらどうだろうか。時代は大きく変わり、子どもも社会の構造も従来の考え方を当てはめて解決できる状況ではなくなっている。

▼教育課程審議会答申「基本的な考え方」を読み直すと、今回の教育改革の方向が分かりやすい。「学校は、子どもたちにとって、伸び伸びと過ごせる楽しい場所でなければならない」「子どもが興味関心のあることにじっくりと取り組めるゆとりがなければならない」「子どもたちが安心して自分の力を発揮できるような場でなければならない」等の文言が続く。つまり「かけがえのない一人の人間として、大切にされ、頼りにされていることが実感できる」 ことを求めているのである。どこまでも、子どもの側に立って、何が大切であるかを考える学校への転換を求めているのである。

▼教師の都合で進めてきた授業もあったし指導もあった。「今、忙しいから、後でね」ということを、この精神から考えると見直したくなる一言か。(吉永幸司)