本棚  なぜ国語を学ぶのか
村上慎一 著 BK1
岩波ジュニア新書 2001.9 740円
なぜ国語を学ぶのか

 なぜ国語を学ぶのか、自明のことであるようで、いざ答えようとすると、説得力のある答え即座にを出すことは難しい。高校の国語教師である著者が、高校生に向けてわかりやすく答えている。
 「国語は、すべての教育活動の基本になる教科だといわれている。しかし、現実に学校で、この基本が大切にされているかというと、かなりあやしい。大学受験に対する重要性という観点が重んじられすぎるあまり、あるいは実社会での有用性ということに目がいきすぎるために、国語という基本はないがしろにされがちである。このままでは、高校生の、ひいては日本人の国語力は危ないのではないか、そんな危機感が本書を書かせた」と、「はじめに」に述べられている。

第1章 なぜ現代国語を学ぶのか
 評論文、小説、詩、随筆それぞれの特質と学ぶ意義が説かれる。
第2章日本語と外国語を比較する
 「日本語は難しい」という通説の検証を通して、文化の問題に触れられている。
第3章 古典を学ぼう
 古典を学ぶことのメリットから、「人生」と「生活」の違いに論及。
第4章 文章を書こう
 「書くこと」と「読むこと」は一つ。深いところでつながっている。(常諾真教)