<第12回新しい国語の授業研究会>
詩 か ら 始 め る 授 業 開 き
蜂 屋 正 雄

 授業開きとして気をつけたいことは、次の2つ。
◆クラス替えが行われた新しい教室で、体を使った同じ体験をさせ、楽しい気持ちを共有させたいということ。
◆安心して、自分の考えを言える雰囲気を作りたいということ。

 クラス替えを行った学級では、子どもは「どんな先生かな」「国語の授業はどんなことをするのかな」「こんなこと言って笑われないかな」「たくさん発表できたらいいな」など、様々な期待や不安を胸に、はじめての授業に臨んでいる。自分の思いを出せてきた子はこれまで以上に、そうでなかった子は新しい年度を機会に、よりよい自分を目指してがんばろうとしている。この時期に、だれにでも「できる」そして「楽しめる」授業を心がけたいと思う。

 昨年の授業開きでは、『こんな教室つくろうや』という詩の授業を行い、その中で「教室は間違えるところだ」という一節に注目して音読の授業を行った。
 この時は、詩の内容もよかったせいか、一学期の間、子どもたちは国語だけでなく算数や社会の授業でも「学校は間違えるところやから、ええやん、言ってみいや」というような声かけをして、友達同士励まし合っていた。年度末に「一年を振り返って」という感想を書かせた際にも、一番はじめのこの授業が心に残っている、という感想文がいくつもあった。

 教科書(教育出版5年)では、最初の教材は『あめ』である。昨年は『こんな教室つくろうや』の後に『あめ』の詩を学習した。
 研究会では、この『あめ』という詩を先にしての展開を考え、パネルディスカッションで提案した。しかし、「内容が少し暗く、授業開きには合わないのではないか」という意見が出された。私は『あめ』も、リズム感があって面白く、また、天気の良い日は屋外で行うと、体育倉庫などのトタン小屋もあり、楽しく授業が行えると思っている。しかし、そのような意見もふまえ、思いを伝え合う場作りということも考えて、再度検討したいと思う。

 詩の音読自体は、新しいことではないが、授業開きにはふさわしいと思う。グループごとに音読の仕方を工夫し、発表会を行う。工夫したところを発表し合い、うまく表現できたか、うまく伝わったかを相互評価する。相手のよいところを見つけ、自分の発表に取り入れる。友だちに取り入れられることによって認められたと実感できる。思いを伝え合い、認め合うことを通して、学級開き、学級作りを進めていきたい。
(安曇川町立安曇小)