「詩を書くこと」と相手、目的、評価意識 <後編>
岡 嶋 大 輔

 6年生が相手意識や目的意識を持って書くことができるように、メッセージ性のある詩を書くように単元を考えた。
 「詩を書く」といっても二種類ある。一つは、自然に思ったことや感じたことをそのまま書き留めていく日記的な詩。もう一つは、それから一歩進んで、相手や目的を考えてメッセージ性を含ませて書く詩。本単元は、後者の方が書けるようにということでチャレンジしたものである。この単元について、昨年12月の第6回「新しい国語実践」の研究会で提案した。

 単元の後半で、児童が書いた詩について互いに評価し合う場面を設けた。私は次の4点でカードに書くようにした。
 (1) この詩で何が伝えたかったのか
 (2) 良いと思う工夫や言葉とその理由
 (3) 誰に読んでもらうといいか
 (4) その他のアドバイス

 「伝えたいことがうまく伝わるように書けたか(◎○△×)」等のような評価では、児童は、「自分の持つ書く力の具体的な内容」や「今書いたことをもとにして次にどう書けばいいか」ということが分からないまま、その到達度のみを知らされたことになる。
 そうではなく、例えば、「伝えたいことをうまく伝えるために工夫して書く」というめあてがあるのならば、「どのように伝わったのか」を伝えることが評価であるし、うまく伝わっていなかったら、「どのような書き方があるのか」をアドバイスするのが評価である。
 また、書いたのの中から「良さ」を見つけ、その「良さ」を価値付けてその児童の中で有用なものにすることが評価である。そのように考えて、カードは文章で記述するようにした。(1)と(2)を中心に書くようにした。
 評価してもらっての感想では、「ちゃんと伝わってよかった」「少し違った意味で伝わったのでもう少し分かりやすく書こう」等、評価から学ぶ姿が見られた。

 分科会では、(2)以外の評価は必要ないという意見が出た。「詩の楽しさは、何が伝わったかではなく自由に書くこと自体にある」「伝えたいことが明確になくても読む側が種々に受け取ってくれたらそれで詩の価値がある」いうものであった。
 詩にメッセージを託すこと自体に対する問題提起であった。
 「メッセージ性のある詩」を作り出すことは、学習として「あり」なのか、「なし」なのか、「あり」と考えてチャレンジはしてみたものの、まだまだ私の中で揺らいでいる。
(甲賀町立佐山小)