巻頭言
良 き 師 、良 き 仲 間 と 共 に
村 田 伸 宏

 「たとえ損でも、どんなに大変でも、自分が思ったことをやり通すことが、本当の意味で『志を高く持つ』ということだよ。」とは、須田実先生のお言葉である。
 須田実先生にお世話になってから、もう10年以上になる。その間、全国実践国語研究会が発展的解消をし、「新しい国語実践」の研究会が誕生した。そして、須田実先生を主宰とする、私ども国語科授業方法研究会は、全国の本部事務局を兼ねることとなった。
 「新しい国語実践」の研究会は、第1回の群馬大会から、滋賀、山梨、鹿児島、愛知、大阪と、地元の先生方のご協力とご努力で、年1回の全国大会を実施してきた。
 毎回、各県の代表者の提案発表を基に、質問をしたり、意見を述べ合ったりして、活発な討議を行い、研究を深めている。
 私も、昨年末の第6回「新しい国語実践」の研究会・大阪大会の第1分科会(話すこと・聞くこと)で提案を行い、全国の先生方と勉強を深めることができた。その際、司会の神山和江先生、指導助言の櫻本明美先生と吉永幸司先生から温かいアドバイスをいただき、貴重な経験をさせていただいた。

 一方、地元群馬では、月に1回ほど、須田実先生のご自宅や近所の公民館に集い、主に国語教育に関する実践報告や原稿検討などの研究討議を重ねてきている。
 今、例会に参加し、勉強を重ねるごとに強く思うことは、自分が今まで、師からご指導いただいたことや仲間と共に身に付けたことを、他の多くの人たちに広げたり、後輩たちへ伝えていかなければならないということである。
 特に、国語教育研究は、研究のための研究であってはならない。私たちが最も心しなければならないのは、子どもの存在であり、子ども主体の学習を通してより良い方法を導く、実践的研究の重要性である。そして、授業を通して、伝え合う力や言葉を尊重する態度などの真の国語の力を、子どもと一緒に育んでいきたいと願う。

 私は、国語教師・実践者として、良き師と良き仲間に恵まれていることをつくづくと幸せに思う。そして、今も良き師と仲間は、着実に増えつつある。
 今回、尊敬する吉永幸司先生がお声をかけてくださり、この伝統ある『さざなみ国語教室』へ拙文を掲載する機会をいただいことを心から感謝したい。
(群馬大学教育学部附属中学校)