▼「あかるいな」という言葉から始まる教科書があった。入学して来た子ども達が初めて出会う言葉として、いい言葉だなと感動した思いが今もある。言葉はその人の心を映し出すものである。よい言葉・美しい言葉に出会わせたいという思いは強い。

▼言葉と人の関係はと考えていた時、原俊雄さん(川崎市・稲田中)より『記念樹』という文集を頂いた。171号を数える。内容は教職員の離任式の言葉が中心になっている。文集の意図を原さんは次のように語っている。

▼「離任式」の時に、写真を撮ったり、お別れの言葉(その先生の最後の授業と呼んでいます)を文集にしたりして、お世話になった先生や職員の方に差し上げる。何のためにやり始めたのかわかりません。ただ、その先生方がその時、私と会ったその学校の記念として作っていったものだと思います。

▼「何のためにと問われても分かりません」という言葉が心に残っている。感謝の気持ちなのでしょうが、そんなありきたりの言葉で片づけたくないという思いが言外にある。

▼「離任式」の文集で19冊目を数えるという。離任式の頃は、新学年に向けて一番忙しい時。正直なところを言えば、今の学年の整理と次の準備に追われ文集などの余裕などとてもとても。

▼言葉は心。それが形として残されていることに新鮮な感動を覚えた。(吉永幸司)