<全小国研公開授業>
新聞に投書をしよう 〜書くことで考える力を伸ばす
杉 澤 周 一
「本当に、新聞社に送るの?」 「送ろう。採用されるのは難しいらしい。みんなで学習してみんなが送って、クラスで1名でも新聞に載せてもらえたら、うれしいね。先生とみんなで頑張ってみよう。」 附属小学校5年の教室で初対面の子どもたちと、こんなふうに話して授業が始まった。 【目標】 自分の思いや考えが読者にわかりやすく伝わるように工夫して意見文を書き、新聞に投書をしよう。 【学習の実際】 全4時間 (1) 新聞の投書を読んで、筆者の書く工夫や主張について話し合う。 <この時間の学び> ・段落をはっきり分ける。 ・事実と思い、考えを区別する。 ・一番に伝えたいことがはっきりわかる文を最初か最後に書く。 ・印象に残る言葉、心に響く言葉など、よく考え言葉を選ぶ。 ・読者を意識して、よびかける、問いかける、語りかける、強くうったえる文を書く。 ・だらだらした長文は短くする。 (2) 構想を練り文章構成を考える。 (3) 投書の下書きをする。 (4) 一斉学習で、教師の書いた投書例で第1時の学びを観点に助言するシミュレーションの後、3 人グループで相互に下書きを読み合い、観点に照らしメモを書き込んでから助言し合う。 <第4時のグループ学習の様子> 何度も読んで助言メモ書き込む子、ここが事実ここが思い・考えやろ?一番に伝えたいことは云々やろと確かめる子、この言葉がいいと伝える子、何かもうちょっと足りんなと思案顔の子、すぐに自分のを直したがる子、もっと読みたいと訴える子 実際に新聞社に送ることにしたのは、困難な採用をめざすことや世の中の人を意識するなど実の場が学習の舞台になり、考え書く意欲が高まることと学習内容に緊迫感が得られることをねらったため。それにより子どもたちは、実際の新聞に採用されるために、また、世の中の人に読まれることを意識して、考え書く経験ができた。 2人採用された。附属小へ出張の際に教室に立ち寄り、みんなで喜び合った。不採用だった何人かがもう一度挑戦したいと意気込んでいると担任の先生から聞いた。 朝日新聞「声」の編集長から、 「今一歩、自分の心の中に踏み込み、当たり前だと思っていたことがらを違った目で見直して、その人でなければ書けない文章になれば」 というアドバイスをいただいた。 読もうとすればすべてのものからメッセージが発せられていることを示す「手紙」という詩がある。アドバイスとその詩の2つを伝えて、教室を後にした。 (能登川町立能登川西小)
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