チ ャ ン ス が 来 た
杉 澤 周 一

 体育館で校内読書集会があった。日頃の読書の様子を発表したあるクラスの発表がよかった。口調がはっきりしてわかりやすい。話す内容を吟味し、発表の練習を重ねていることをうかがわせた。話す力を身につける指導が日常的に積み重ねられていたのかもしれない。聞いている私の耳に心地よい子どもの声が弾んだ。
 高学年になるにつれて、話す力の伸びがわかるような学校になるといいと、ずっと思ってきた。各クラスの話し方や発表内容のばらつきは、担任の指導のせいではない。学校全体の指導体制が大切だ。

 以前、ある学校に研修に行き驚いた。全校集会で、6年生が全校の子どもの合唱の指揮した後、合唱の評価をした。内容があり、はっきりした口調だった。また、別の学校では、一人の子どもが物語の読みについて延々と話す。ただ、どちらの学校とも、1年生は当時いた私の学校とまだ開きは少なかった。その後の違いは何か。

 毎年、熱心な担任の先生のクラスだけが話す力が身につく。そして、クラス替え、担任替え。これでは先程の学校に及ばない。
 例えば、1、2年生に正しい口の形で発音することをしっかりおさえ、日常的にくり返し指導をすることを年間計画に位置づける。このように学年ごとの年間計画、また、学年間の系統をたて職員で共通理解し徹底指導する。
 また、例えば、月、水、金の朝の活動で低学年はスピーチをする。高学年は、フリートークを1学期にグループで、2学期にクラス全体でする。3学期は、討論会をする。この活動を週日程等、教育課程に位置づける。
 こうして、だれが担任をしても前学年で身についた子どもの話す力をしっかり受け継いで、その学年のめざす話す力を身につける指導に努力し、責任を持って次の学年に送る。私が驚き感心した学校の子どもたちは、こうして育てられたのではないだろうか。

 これは、話す力だけのことでなく、すべての指導について言える。実は、学年の年間の系統、学年間の系統が大切なことは以前から、くり返されている。私自身もわかっていたが、学校体制で大きく踏み出せる機会がなかった。
 今、その機会がきた。新教育課程に向けて準備を進めている今こそ、全職員が現状を確かめ合い、話し合い、よりよい体制を生み出せる。そして、来年度4月から、全職員の共通理解で、学期渡し、学年間渡しの指導リレーが始められる。その時の1年生が高学年になった時の育ちを思い描き、みんなが各学年のバトンタッチの責任を果たす学校にするビッグチャンスが来た。 
(能登川町立能登川西小)