「クラムボン」と聞くとどこかで聞いたような言葉だなと思う。自分が知っているようで本当は知らない。こういうのが本文の中にいくつもある。この水の世界へ自分がすいこまれるような文だと思う。(中略)私は「青白い」や「日光の黄金」や「ラムネのびんの月光」が特に気にいっている。全部自分が知っている言葉でも初めて感じる言葉だ。それなのに心に残っている。「青白い」というとガスバーナーを思い浮かべる。でもこの中では、自然にこの言葉がでていて違和感がない。これが全く不思議だと思う。ーーこれは教材「やまなし」(6年生・光村)を学習した後の子ども学習感想である。

▼言葉の力が身についているとか、国語に関心があるとかということをよく話題にする。しかし、具体的に、どのようなことなのかを語り合うとなかなかイメージが湧かないことがある。この子の書いたものの中にその答えがあるような気がする。

▼「全部自分が知っている言葉でも初めて感じる言葉だ」と自らの気持ちを素直に表現する。その気持ちが熱く伝わってくるからである。

▼この子が育った言葉の学習の歩みは、低学年では徹底して音読が繰り返された。高学年では、叙述にそって、言葉の意味を確かめる学習が続けられている。

▼国語の力が身に付くということのヒントがあるような気がする。(吉永幸司)