説 明 文 で 話 し 合 う 、 考 え 合 う
西 村 嘉 人

一秒が一年をこわす、ってどう いう意味なん?」
 子どもたちの疑問から学習は始まった。
「そんなん壊せるはずがないやんか。」
 素直な反応である。学習のテーマはこのやり取りですぐに決まった。「筆者の伊藤さんは、この題で何が言いたかったのか」である。

 学習テーマに迫るために、いつものように二つの手順を示す。
 (1) 漢字の読みと言葉の意味を調べて、文章を読む準備をする。
 (2) 全文をすらすらと速く読めるようにする。
の二つである。2時間でこのことを完了するように指示する。1学期から少しずつ取り組んできたので手際よく進められるようになったきた。

 1時間のひとり学習の後、グループで「筆者伊藤さんが言いたかったこと」を話し合い、1枚の紙にまとめる学習活動を入れた。各グループがまとめた紙を教室に貼りだし、意見交換を行った。

T 1班の「地球の環境が悪くなっているので、みんなで気をつけよう」というまとめについて、各班で話し合ってください。
C みんなで気をつけようと言うところが、少し言い足りないと思います。
C 地球の環境が悪くなっているとまとめているけど、伊藤さんはいろいろ例を挙げているので、 もう少し詳しくした方が言いたいことがはっきり分かると思います。

 このような形で6班全部について「言い過ぎ」か「言い足りない」かについて論議させた。
 他の班からの指摘を受けて、再度班での話し合いである。話し合いに入る前に、ひとり学習として「筆者伊藤さんの考えと環境問題についての事実とを分けて集めてみよう」と指示を出した。各班での話し合いに「具体例」が出てくるようになった。

C 二酸化炭素のことを出して地球の温度が上がることを言っているけど、これは環境が悪くなっている例だから、…。
C でも、地球の環境を守ろうって書くと、どこに書いてるのと質問されそうだし…。
C でも、結局伊藤さんは「もっと地球の環境のことを考えよう」と言ってると思うんだけど…。

 子どもたちのグループ討議は、まとめの内容だけでなく、聞き手の反応まで意識したものになっていった。
聞き手を意識すると、話し方が変わる、考え方が変わる。当たり前だが子どもたちに授業で実際に教えてもらったことである。 
(彦根市立城南小)