本棚  作文が得意な子をつくる本
宮川俊彦 著 BK1
小学館 2001.7. 850円
作文が得意な子をつくる本

 著者は学校関係者ではなく、民間の国語作文教育研究所所長、小学館「ドラネット」講師。『新・家庭教育のススメ』シリーズの1冊で、親向けのものである。
教育の現場でも、作文の指導法は「未発達」のままです。文章の書き方を教えてもらえることは、まずありません。「遠足」「わたしの家族」などという課題だけを与え、「思ったままを自由にのびのび書きなさい」と放り出す−−いまだ、このようなやり方がほとんどと言っていいでしょう。(p3)
 先生のほうも作文がきらいで、どう教えたらいいのかわからないのではないかと疑いたくもなってきます。(p15)
このような批判にどこまで反論できるだろう。首肯せざるをえない教室がたくさんあるのではないだろうか。
 本書では、作文の書き方の技術的なことよりも、作文を「総合的な言語能力を育む教育」ととらえ、「自分の見方、感じ方、考え方を獲得する」方法に重きを置いている。「遠足に行きました。……楽しかったです」というようなワンパターンの固定観念を覆し、自分なりの見方や考え方ができるようにする。そのために、五感を使って言葉を増やしていく方策が説かれている。
 家庭教育と学校教育との違いはあるものの学ぶべきことは多い。(常諾真教)