雨の日のクラス点描 「はないちもんめ」 しよう
中 嶋 芳 弘

 担任が出張している中学年のクラスに補欠にはいった。
 給食を終え、掃除の時間までの昼休みのことである。自由ノートを取り出して友達と絵を描く子。読書をはじめる子。折り紙をはじめる子…。雨の日の遊びを見つけて、思い思いの遊び興じる子ども達の姿があった。
「『はないちもんめ』しよう。」
これは7人の女の子達である。じゃんけんをして二組に分かれ、それぞれ手をつなぎ横一列に並ぶ。
「勝ってうれしい  はないちもんめ
 負けて悔しい  はないちもんめ
 だれが欲しい  ○○さんが欲しい
 ○○さんが欲しい……」
列は行きつ戻りつ、歌の声は大きくなる。
「相談しよう  そうしよう……」
遊びのルールが守られているから楽しい。笑い声が響くようになる。
「わたしもいれて。」
「ぼくもいれて。」
入りたい者を拒まない手つなぎの列は自然に長くなる。歌声も大きくなり、勝って仲間が一人増えると歓声が上がる。
「暑くなってきた。みんな続けててな。」
と列を離れた子が、雨が降り込まない程度に窓を開ける。涼しい風が吹き込んで来る。子どもたちの顔が汗できらきら光る。昼休みの終わる頃にはクラスの大半の子がこの遊びに加わっていた。
 小さな声の子が安心して、
「入れて」と言える遊びの輪が出来るクラス。一人ひとりが大切にされているクラスだなと思う。  楽しそうに遊んでいるのにちゃんと時計を見ている子がいる。
「もうすぐ掃除よ。」
「本当だ。」

 自然に集まった遊びの輪は、潮が引くようにほどけていく。手にぞうきんやほうきを持ってそれぞれの場所に移動していく。ここでもルールが守られている。
 掃除もクラスで約束があるのだろう。ほうきを担当している子たちが、
「10回、乾拭きした人から、机を運んでください」等の指示を出し、その指示に従って進んでいく。分担の掃除の終わった子も早く終わったときの仕事が決まっているらしく、次の仕事をはじめている。
「早く掃除が終わったら、下拭きのぼくらは、ネズミさんまわりと言って、机の間を拭いて回るんだよ。」
「わたしたちはね。……」
「よいクラスですね。」
「ありがとうございます。」
元気な声が返ってきた。
(彦根市立旭森小)