本棚  子供が「個立」できる学校 日米チャータースクールの挑戦・最新事情
天野一哉 著 BK1
角川oneテーマ21 2001.7 517円
子供が「個立」できる学校

「個立」とは見慣れない言葉だが、本書のテーマは、『私たちは「なにを学びたいか」「どんな学校に行きたいか」と問われることなく「教育」を受けてきた。…この「問い」がなされ、子どもたちの「答え」が実現してこそ、自立した個人の意思を尊重する「学び」の道が開かれる。現在の「教育」にもっとも欠けているのは「個によって立つ意思」への崇敬だ。この「問い」を発し、連帯を根底に据えた「公共ある個立」を培う「学びの場」をつくらなければ、…』 (「はじめに」から)と説明されている。

 そのような学校のモデルをアメリカのチャータースクールに求めている。教育改革国民会議の報告で提案されている「コミュニティ・スクール」のモデルもチャータースクールであるが、まだ日本ではそれほど知られていない。本書ではアメリカにおけるその現状とともに、日本で新しい学校を作ろうと取り組んでいる「湘南に新しい公立学校を創り出す会」の活動についても詳しく紹介されている。市民運動の盛んなアメリカでもその運営は難しいという。日本で「公立市民営」の「夢の学校」を設立するには、まだまだ道のりは遠いようだ。

 第1章 アメリカのチャータースクール
 第2章 夢の学校をつくる人々
 第3章 夢の実践と改革
 第4章 実践の継続
 第5章 広がる学校づくり運動
 第6章 ついに政治も動き始めた
 第7章 よりよき「日本型チャータースクール制度」をめざして
(常諾真教)