本棚  普通の子どもたちの崩壊
河上亮一 著 BK1
文春文庫 2001.7 524円
普通の子どもたちの崩壊

 サブタイトルに「現役公立中学校教師1年間の記録」とあるように、著者は、教育改革国民会議の委員も務めた現役教師である。
 書かれている内容は、私たち教育現場にいる者にとっては、それほど目新しいことではない。むしろもっと大変な状況を知っている。しかし、学校現場とはかけ離れたところで、さまざまな教育改革論議がなされている現在、学校の実際を広く知らせる意義は大きいと思う。
 「はじめに」から。

「この十数年、”ワル”と”普通”の違いが、はっきりしなくなった。私たちのイメージにある”普通の子ども”たちが崩壊し、”新しい子ども”たちが登場したのである。」

「他人を受け入れない、固くて狭い自我を持った子どもたちが、大量に登場している。いつ誰が何をするかわからないという不安が広がっている。学級崩壊、校内暴力は、いつどこの学校で起こってもおかしくない。」

「日本の学校は崩壊の方向に動きだし、教師だけの力で支えるのはとても無理な状況にある。社会的自立ができず苦しんでいる子どもたちを教育するには、親をはじめ、社会の人びとの支持がどうしても必要である。そのためには、何としても、学校の現実と生徒の実態を知ってもらわねばならない。」(常諾真教)